百貨店の名前がついた蝶
生き物に百貨店の名前がついた唯一の例がある。そんな偶然みつかった蝶について。

その発見は百貨店にて
偶然売り場で見つかった新種の標本
アゲハチョウは最も身近にみられ馴染み深い昆虫のひとつ。そのなかでも特に一般的で住宅地や公園でみられるのがアオスジアゲハというチョウだ。青緑色の紋をはためかせながら飛ぶ美しいその姿はナミアゲハと並び、子供たちの人気も高い。
そんなアオスジアゲハには帯状に並ぶ紋の異常型がみられることがある。一列に並んだ紋の先端付近に二個の小さな紋がある異常型にはハンキエンシスという亜種名がつけられている。
一般にはアオスジアゲハのハンキュウ型と呼ばれ、その名の通り阪急百貨店が由来のチョウである。
このチョウが見つかったのは1930年梅田の阪急百貨店。発見したのは当時宝塚図書館の館長を務めていた戸沢信義であり、蝶のほかにも蜂の研究で知られる昆虫研究者。
たまたま売り場で売られていたアオスジアゲハの標本を購入したところ、特徴的な紋を持つ新種であることが判明。しかし標本の採取地も採取した人名もわからなかったため、購入した阪急百貨店の名前を用いてハンキエンシスと名付けた。このようにして見つかったアオスジアゲハのハンキュウ型は、世界を見渡しても百貨店の名前がついた唯一の生き物といえる珍しい例である。

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