夜景の美しい百貨店3選【西日本】

明治に西洋文化として広まった百貨店には美しい建築が誇るものが多くある。旅行やデートの経由地にぴったりな夜景が美しい百貨店を西日本から3つご紹介。

阪神梅田本店

ルーバーから覗く店内が美しい都市夜景

阪神梅田本店は大阪駅南側に位置する百貨店。同じグループの阪急阪神百貨店の本店が向かい合わせに立つ特殊な立地で、同社のまさに本丸といえる場所。阪神百貨店は2022年に建て替えられており(旧大阪神ビルディング)、百貨店としては相当新しい建物にあたる。一見してわかる特徴が建物全体を覆う白いルーバーで、連続したパターンが建物を洗練された印象にまとめている。また単一な繰り返しではなく、歩道橋から見える部分に変化を持たせることで動きのあるパターンを形作っている。

夜の阪神梅田本店
夜の阪神梅田本店。都市の豊かさを象徴するような百貨店の夜景。

この建物の見どころはやはり夜。あたりが暗くなるとこの白いルーバー越しに店内の照明が外に漏れ、売り場が見えるようになる。まるで建物全体がショーウィンドウのようだ。外から眺めているだけで売り場や買い物客の活気がよく伝わってくる。大都市の中心にある百貨店だからこその美しい都市夜景である。

大丸神戸店

居留地の雰囲気を活かすロマンチックな佇まい

神戸市の中心、三宮駅から歩いて10分ほど。西洋風の建物が残る旧居留地の一角に大丸神戸店がある。神戸店は大丸の中でも歴史の長い店舗で神戸市民にも長年愛されてきた。元は近代的な建築で特に本館は村野藤吾による設計であったが、1995年の阪神淡路大震災で大きな被害を受ける。そこで1997年に建て替えられたのが現在の本館。建て替えではクラシック&モダンが掲げられ、旧居留地との調和が図られた。

建て替え前の大丸神戸店
建て替え前の大丸神戸店。1996年7月撮影。提供:神戸市

夜になるとファサード全体がライトアップされ、異国情緒ある旧居留地とともにロマンチックなたたずまいを演出している。クリスマスが近くなると周辺の街路樹でイルミネーションが行われ、一層美しい。歩いているだけでも楽しめるエリアだ。

夜の大丸神戸店
夜の大丸神戸店。すぐ近くには中華街の南京町もあり、東洋と西洋の両文化が楽しめる。

山形屋(鹿児島本店)

昼も夜も美しいルネサンス調の百貨店

山形屋は鹿児島県鹿児島市に本店を置く老舗の地方百貨店。南九州では特に格式ある百貨店で、明治後期に西日本で初めて百貨店営業を始めた。当時百貨店営業を始めていたのは三越や松坂屋など一部の大手であり、山形屋は地方百貨店のさきがけである。現在の本店は大正初期に建てられたルネサンス様式鉄骨造りの建築をモデルにしている。1998年に外壁工事を行ったもので、建物自体は1963年に建てられたもの。日本の百貨店は和洋折衷の帝冠様式などが多くみられ、ルネサンス様式は珍しい。目前の金生通りに市電が走っており、昼でも十分その情緒を楽しむことができる。夜になると外壁が暖色にライトアップされ、本当に欧州の百貨店を見るような美しさを放っている。

山形屋鹿児島本店
山形屋鹿児島本店。大正時代の本店を再現した外装。
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